CONVERSATION with studiolab404.com
新感覚セレクトショップと考える
ファッションのリアルな楽しみ方
祐天寺駅からほど近く、閑静な住宅街の一角に店を構えるクリエイティブスタジオ「studiolab404.com」。彼女たちの自由なスタンスとポジティブな話を通して、ファッションが持つ可能性と純粋な楽しさをあらためて考えてみた。
PHOTO_Haruki Matsui EDIT & TEXT_Shiori Nii(TRYOUT)
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店作りに込めたスタイルの提案
2021年末にスタートしたばかりの「studiolab404.com」は、かねてより友人であった3人が各々のバックグラウンドを生かして作り上げたクリエイティブのプラットフォームだ。ブランドのコンサルティングやプロダクトデザインなど、多岐にわたる活動のベースとなるのは祐天寺にある店舗。
セレクトショップとして、ヴィンテージやミリタリーのデッドストック、コレクションブランドに雑貨など、多彩なミクスチャー感が魅力。しかし一見混沌としたラインナップも、俯瞰して見ると不思議とまとまりがある。「コレクションなどを見ていても、過去のカルチャーをベースにアップデートして新しいものとして打ち出すアプローチが多いですよね。私たちのお店でもそれを取り入れているんです。デザイナーズとヴィンテージを並べた時に別ものに見えるアイテムでも、実はコレクションのリソース源であることも。一つの線でつながるような世界観をイメージしています」(モネさん、以下同)。トレンドのサイクルやカルチャーとのリンクを意識したセレクトによって、背景も含めたストーリーとしてファッションを楽しめるのだ。
そして「studiolab404.com」のもう一つの特徴と言えば、セットアップやミリタリーをはじめとするユニフォームアイテム。「制服があった学生の頃は着崩してなんぼ。ダメと言われることをやりたくなるものでしたが、大人になるにつれて逆にレギュレーションがある方がスタイルを作りやすいと感じるようになりました。制限のなかで、どのように自分らしさを表現するのか考えるのが面白いんです」。あえて型を設け、ジュエリーやサイズ感、素材感などのディテールで自分らしく色づける。無理に目立たなくとも、派手な装飾がなくとも、少しの変化で自分のスタイルを表現できることを、彼女たちはユニフォームを通して提示している。左からクリエイティブディレクターのモネさん、
グラフィックデザイナーのマリコさん、商品企画のレイさん。 -
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自分らしさを彩るファッションの在り方
「studiolab404.com」のメンバーは、全員が20代でありながら個々のスタイルも確立している。新しいアイデアや流行が絶え間なく生まれるファッションで、自分らしさを見出し、思う存分に楽しむにはどうしたらいいのだろう。「結局、私たちって自分のことが大好きなんだと思います(笑)。好きだからこそ、自分を理解しようとする。すべてに『YES』と答えていた時期もありましたが、だんだんと自分の身の丈もわかってきて。等身大の自分を受け入れたら、必要な要素をきちんと取捨選択できるようになりました」。自身を客観視する余白とポジティブなマインドが、彼女たちらしさを生み出す。そして、見つけ出したアイデンティティをさらに楽しむための指針となるのが、3人が考えるファッションの存在意義。「私たちが思うファッションは、一日の行動をちょっと変えてくれるもの。これを着ている時はこうでありたいなとか、逆に今どんな気分なんだろうとか、自分のムードやエモーショナルな部分を引き出すきっかけになるのが“着る”という行為なんです」。
異なるフィールドで研鑽を積みながら次のステージを模索していた彼女たちが、「一人でやるよりみんなでやった方が面白い」と「studiolab404.com」をスタートして約1年。今3人が見据えているのは「今やっていることを、ずっと続けられたら幸せだなと思います。『次はこんなことがしたい』と語り合える仲間がいるのはとても恵まれたことで、この関係性を保つためにもやらなければいけないことはしっかりとやりつつ、自分たちらしくリラックスしながらファッションと向き合っていきたい」ということ。エラーコード(Not Found)を意味する“404”に込められた無限の可能性は、広く大きな意味を持つファッションという言葉にも通ずる。純粋に自分らしさを楽しむ彼女たちとの対話を経て、あらためてファッションの可能性と原点を感じ取ることができた。
STYLING IDEAS for
“Craft Work Spirit”
今季のテーマ“Craft Work Spirit”を構成する3つのシーズナルトレンドに沿った、「studiolab404.com」で選んだコーディネートを紹介。
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Y2K Fantasy
「バギーパンツにトップスはタイトに締めるという上下のバランスがY2Kのムード。オリエンタルな柄のジャケットで個性を出しつつも、少し大人っぽくかっちりさせるのが今っぽいと思います」
チャイナシャツジャケット¥16,800、コーデュロイパンツ¥29,800(共にNOS)、ビスチェ¥17,800(ローハン)
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Romantic Utility
「2021年にスタートしたばかりの〈ローハン〉のジーンズはフォルムが特徴的。計算されたデザインは、コーディネートを格上げしてくれます。デコラティブなトップスで甘さを加えました」
メッシュトップス¥48,000(ヴィンテージ)、ジーンズ¥58,000(ローハン)、ハンドバッグ¥24,800(404オリジナル)
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Formal Sensation
「これこそ『studiolab404.com』らしいスタイリング。’80sのヨーロッパのセットアップに、アメリカのミリタリーデッドストックを合わせてモダンにアップデート」
'80sセットアップ¥52,000、プルオーバー¥9,800(共にNOS)
SHOP DATA
東京都目黒区祐天寺1-31-12
土~月曜 14:00~20:00(ほか平日はアポイント制)
水曜休
https://studiolab-404.com
@studiolab404dotcom