MEN'S THEME New Masculinity

メンズのキーワードは“自由を与え、
尊重する”テーラリング

 大前提として、紳士服の心臓部はクチュールテクニック、サルトリアル、つまり上質で確かなアーティザナルのテーラリングだ。2020年代のシーンにはその背景やルーツ、オリジンを特にリスペクトしているのを感じられ、22-23年秋冬コレクションでは惚れ惚れするほどのエクスプレッシブ(表情に富む)なテーラードが顕著にプレゼンスを増している。
 リポジションしたばかりの〈ボッテガ・ヴェネタ〉はしなやかなレザーの変形トレンチにシャツとスラックスのコーディネート、〈アディダス〉とのコラボレーションをスポーツラックスにメタモルフォーゼさせた〈グッチ〉。フリーダムなウェアリングにアーキテクチャーな仕立てを選んだ〈ジル サンダー〉、ブリティッシュトラディショナルなバーコートのボトムスにあえてスウェットパンツを合わせた〈ディオール〉、そして“Louis Dreamhouse™(ルイ・ドリームハウス)”とタイトルを掲げ、ヴァージル・アブローの紡ぐクリエイションを象徴するようにデフォルメされたスーチングの〈ルイ・ヴィトン〉など、アレンジメントが際立ってもエレガンスを毫も失っていない。
 さらに、〈バーバリー〉はモダンカントリーを、〈セリーヌ オム〉はスタッズを散りばめたライダースで、〈ケンゾー〉は花柄のデニム3ピースでステレオタイプのドレスコードを凌駕する現代版プレップで、誂えの卓越したアビリティを体現している。
 “New Masculinity”はいい意味でジェンダーフリーな個性を誇張するにおいて、着こなせない、選べないテーラードはないことを形づくった。

※レシピはサロン技術者専用の情報です。