Talking about Elegant Style
Column by FASHION「KISHIDAMIKI」デザイナーに訊く
これからの時代のエレガント
着る人それぞれの感じ方、捉え方により多彩なスタイルを楽しめる「KISHIDAMIKI」。デザイナーの岸田美樹さんが発表した今年の春夏コレクションは、エレガントをそこはかとなく感じさせる佇まいが印象的だった。日々変わりゆく日常とどう向き合い、美しさの本質をいかに見出しているのか。彼女が考える、これからの“エレガント”について訊いた。
PHOTO_Mitsuaki Nakamura (TRYOUT)
KISHIDAMIKI
私にとってエレガントとは、人の生き方そのもの。
自分らしさを貫く強さを秘めた女性こそ、本当に美しい。
辞書には「気品のあるさま」「優美なさま」などと記されている“エレガント”という言葉。以前は主に外見のことを指していたが、時代と共にその意味も変化してきたと岸田さんは話す。
「現在はさりげない所作から思想、生き方に至るまで、その概念が内包されているように感じます。スマホひとつであらゆることを調べられる今は、膨大な情報から自分にふさわしいものを見極める審美眼が必要不可欠。だからこそ自分の信念を持って取捨選択ができる人は、とても強くて美しい。まさにエレガントなのではないかと思います」
“LDK MID”をテーマにした「KISHIDAMIKI」の2021年SSコレクションには、いつも以上にラグジュアリーな世界観が表現されていた。その理由をエレガントに対する彼女の考えと共に教えてもらった。
「このコレクションをデザインしたのは、コロナ禍で自粛していた昨年の4、5月頃。普段は言葉からインスピレーションを得ることが多いのですが、この時期に感じていた想いや空気感を服に落とし込みました。オケージョンシーンにもマッチするような華やかなデザインに、どんな時もファッションを楽しんでほしいという願いを込めて。なかにはドレープが美しいキャミドレスやユニークなシルエットのハーネスなど、いろんな着こなしができるアイテムもあって、あえて着方を限定しないことで、その人の個性や強さを表現できればと考えました。私にとってエレガントとは、人の生き方そのもの。常に自分の考えを持ち、自分らしさを貫く強さを秘めた女性こそ、本当に美しいのだと感じます。そんなエレガントな女性に向けた服を、これからもデザインし続けたいです」
Lace Harness
毎年リリースされるハーネスシリーズ。インナーに重ねるだけで、普段のコーディネートがまた違った表情に。
Camisole Dress
胸元にあしらった生地はふんわりと垂らしたり、つまんで留めたりすることで自在にアレンジできる。
2021
SPRING/SUMMER
COLLECTION
ルックのビジュアルはミラーシートを敷いて撮影し、現在と未来の狭間のような不思議な世界観を演出。
- PROFILE
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岸田美樹/大阪府生まれ。神戸芸術工科大学ファッションデザイン学科卒業後、キッズウエアやセレクトショップの販売スタッフ、デザイナーを経験。2014年、着る人の五感を刺激しながら洗練されたスタイルを提案するファッションブランド「KISHIDAMIKI」をスタート。
Instagram_@kishidamiki
(c)KISHIDAMIKI 2021 SPRING/SUMMER COLLECTION