BOOKおしゃれを楽しくする本の選び方とは?

Selected by SPBS

ファッションのあり方や自分の生き方など、
本は自分と向き合うきっかけを与えてくれる。

  東京・奥渋谷に本店を構える[SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS](以下SPBS)には「思いがけない本との出合いを楽しめるように」と、1冊1冊厳選された本が所狭しと並ぶ。そこで日々本と向き合い、たくさんのインスピレーションを受けているスタッフの田村さんに、“自分らしいおしゃれの楽しみ方”のヒントになる本を選んでもらった。
「私は『本は偉大な先輩である』と考えています。ファッション誌であっても、写真集やエッセイ、小説でも、著者が見ていることや考えていることを知ることができる特別なものです。ファッション誌のようにトレンドが目で見てわかる視覚的なものから、ファッションのあり方やスタイルといった自分の思考、生き方そのものに向き合うきっかけを与えてくれるものまで、本からの教えはさまざま。私は文庫選を担当しているのですが、そのコーナーには[SPBS]のすべてが詰まっています。気になった本を手に取っていただいたら、きっと自分らしさを楽しむヒントを見つけられるのでは、と考えています」
※選書した書籍は在庫切れの場合があります。

SPBS 本店 スタッフ 田村結衣さん

SPBS 本店 スタッフ
田村結衣さん

ファッションの道しるべともいえる、
色褪せないロングセラー本

『チープ・シック: お金をかけないでシックに着こなす法』
カテリーヌ・ミリネア、キャロル・トロイ(著)、片岡義男(訳)/草思社 ¥2,420

チープ・シック: お金をかけないでシックに着こなす法

「前書きにある『あなたの服装は、あなたが自分でえらびとっている、自分自身の生き方にぴったりそったものであるべきなのです』という言葉に、まず胸を打たれました。ベーシックとは、アンティークとは、というようにカテゴリー別でファッションを解説しているのですが、そのすべてが新鮮で、むしろ現代に向けて書かれたのでは? と思うほど時代を感じさせない内容になっています。自分のスタイルの核となる部分をこの本が教えてくれました」。1977年初版、半世紀近くの時を経てもなお増版され続けている『チープ・シック』。服とは自分自身の生き方だということを教えてくれる名著。

チープ・シック: お金をかけないでシックに着こなす法

なりたい自分を投影して
ミューズからスタイルを学ぶ

『時光』
島田大介 ¥4,950

時光

写真家、映像作家の島田大介さんの写真集『時光』は、女優、モデル、執筆活動などマルチに活躍する妻、小谷実由さんとの7年間の日々をまとめた一冊。「小谷実由さんの纏っている空気感がとても好きで、彼女は私の憧れ。自分なりのおしゃれって、自分がなりたいスタイルや生き方を選ぶ行為だと思っていて、私にとってこういうムードの人になりたいと思うロールモデルが実由さんなんです。普段のファッションや私生活がのぞけて、島田さんがファインダー越しに見ている実由さんと、私が憧れの視線を持って見ている実由さんが似ているような気がして。この写真集を眺めながらドキドキしています(笑)」

時光

自由奔放なヒロインから受け取る
ファッションと生活の楽しみ方

『るきさん』
高野文子/ちくま文庫 ¥638

るきさん

昭和後期〜平成初期の時代をマイペースに生きるおひとりさまの主人公、るきさんの日常がコミカルに描かれた高野文子による漫画。「るきさんと友達のえっちゃんの掛け合いで構成されている漫画なのですが、文庫本では珍しくオールカラーなので、とてもカラフル。2人はいつもピンクだったり紫だったりのきれいな色の服を着ていて、この漫画を読むとなんだかウキウキした気分になって『明日この色の服が着たいな』というインスピレーションが生まれます。あと、とても自由気ままに生きるるきさんを見ていると、こんな生き方いいなというポジティブな気持ちになれるんです」

るきさん

思い入れと物量が溢れる
“コレクション”して楽しむ服

『村上T 僕の愛したTシャツたち』
村上春樹/マガジンハウス ¥1,980

村上T 僕の愛したTシャツたち

『POPEYE』の人気エッセイ連載を書籍化した本作。「村上春樹さんのTシャツコレクションを集めたエッセイですが、コレクターならではのTシャツにまつわるストーリーがとても面白いんです。そもそもTシャツだけで一冊まとめるというのが斬新ですし、洋服って毎日着るものなのに、1枚1枚に思い入れがあることが純粋にすごいなとグッときました。こういう風にコレクションしたり、デニムを“育てる”というような考え方があったり、いろんな洋服の楽しみ方があるんだなとあらためて気付かされます。ファッションを通して小説家の意外な一面が垣間見られるのも新鮮です」

村上T 僕の愛したTシャツたち

好きなものを好きなだけ。
自分の気持ちに正直な生き方

『pink』
岡崎京子/マガジンハウス ¥1,257

pink

「初めて手に取った岡崎京子作品がこの『pink』です。OLのユミは、ひっそりと飼っているワニ(!)のエサ代と、自分の好きなものを我慢せず買うためにホテトル嬢をしています。ピンク色のバラを眺めながら『お金でこんなキレイなもんが買えるんなら、あたしはいくらでも働くんだ』と黄昏れる彼女がなんだかロマンチックで、羨ましい気持ちになりました。彼女の自分に正直な生き方を見て、たまには自分の気持ちや感性の赴くままに思い切ってお金を使って、“好き”を表現するのに費やしてみるのもいいなと考えずにはいられませんでした」。サブカル界で圧倒的な存在感を放ち、80〜90年代を象徴する漫画家、岡崎京子の代表作。z

pink

主人公の行動から見つける
自分らしさを解放するヒント

『Sketchy』
マキヒロチ/講談社 ¥737(4巻)

『Sketchy』マキヒロチ/講談社 ¥737(4巻)

ガールズスケーターの群衆が描かれている漫画『Sketchy』。「さえない日々を過ごす主人公のアコは、空から“降ってきた”ひとりのガールズスケーターと出会い、スケボーに心惹かれていきます。ちょうど去年、私も彼女のように急に思い立って茶道を習い始めたんです。お稽古の時間は目の前のことに全集中するので、日常から少し距離を置いて、自分の心があるべきところに戻っていくような感覚になります。アコも私も、自分らしさを開放するための鍵を見つけたところなのかもしれないなと考えました。作中ではスケーターならではのファッションがところどころでクローズアップされ、読後に思わずフーディが欲しくなってしまいました」

『Sketchy』マキヒロチ/講談社 ¥737(4巻)
SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS 本店
SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS 本店

SHOP DATA
東京都渋谷区神山町17-3 テラス神山1F
TEL_03-5465-0588
HP
Instagram_@spbs_tokyo

YouTubeファッショニスタから学んで思い切りおしゃれを楽しむ

ファッション業界で活躍中の3名のYouTubeチャンネルをピックアップ。三者三様のファッションスタイルだけど、共通するのはみんな思い切りファッションを謳歌しているということ。自分らしくおしゃれを楽しむことがいちばん大切だという思いを、映像からダイレクトに感じ取りたい。
※登録者数は2021年7月現在。

Rei Shito

東京を代表するジャーナリストが
最前線のファッションを教えてくれる

Rei Shito

channel name シトウレイ ch

follower 4.82万

ストリートフォトグラファー、ファッションジャーナリストとして知られるシトウレイさん。発売前の注目コレクションを先取りで着てみたり、最先端のセレクトショップに潜入したりと、シトウさんだからこそ実現可能なコンテンツが充実。トレンド分析や注目ブランドの解説など、ファッションジャーナリストならではのフレッシュな情報も盛りだくさん。そして何より、シトウさんの軽快なトークとディレクターとの愉快な掛け合いに心を掴まれる!

Miho Nojiri

おしゃれカジュアルの最高峰が新規参戦!
リアリティのある“可愛い”がここに

Miho Nojiri

channel name MIHO NOJIRI YOUTUBE CHANNEL

follower 5,000

ファッション好きの女性たちから圧倒的な支持を得ている、ファッションディレクターの野尻美穂さんがこの度YouTubeに参戦。今最も注目されているチャンネルのひとつ。シンプルだけどおしゃれ、ベーシックだけど今っぽいという抜群のファッションセンスと、その着こなしをマネしたくなるリアリティさが魅力。ハイブランド過ぎずプチプラでもない、ファッションに精通する野尻さんだからこそのブランド選びにも期待が高まる。

Lambda Takahashi

生粋のファッションフリークによる
玄人目線のスタイリング指南

Lambda Takahashi

channel name 高橋ラムダ

follower 非公開

メンズファッション業界では知らない人はいないであろう、スタイリストの高橋ラムダさんによるチャンネル。小技をきかせたコーディネートや、全身の絶妙なカラーバランスなど、さすがとしか言いようのないアイデアに溢れ、毎回「こんな合わせ方もアリなんだ!」と発見と驚きをもたらしてくれる。古着屋クルーズやファッションデザイナーとの対談もヒットコンテンツ。ファッションを自分らしく楽しむ、自由なマインドをラムダさんから学んでみては?