「irojikake」デザイナー、
女優、モデル
紗羅マリー SARA MARY

紗羅マリーさん

いちばん良くないのは、一切鏡を見なくなること。

――服づくりにおいて、何か心境の変化はありましたか?
  ん~、世の中のことを追いかけていなさ過ぎてわからないんですけど、まず昨年の12月に長らく住んでいた東京を離れて郊外に引っ越したことが大きな変化かなと思います。働いているママさんもコロナで子供と触れ合える時間が増えたと思うんですけど、私自身ファッションにより深く向き合える環境と時間ができましたね。それに意識的にチョイスする生地が変わってきている気がします。もともと着心地は大切にしていたんですけど、ガーゼやコットンといった肌にやさしい素材を使うことが増えました。“家の中で着る服”のまま外出できるようなデザインを今後も提案していけたらと考えています。 今は脳みそを固くする時期じゃないし、オンとオフの境界線もなくて、もう少しリラックスしたムードが続くのかなと思っています。

ほかで手に入るなら、私がやる意味はあまりないのかなって。

――今季のコレクションはどれもカラフルで、エネルギッシュな印象を受けます。
  今シーズンに限らず、そこは常に意識しています。ブランド名の「irojikake」には、“色仕かけ”のほかに“色を仕かける”というもうひとつの意味があって。今シーズンは“Daydream Forever”をテーマにしていて、いつも先にコレクションの核となるコラージュ作品をつくってから一つひとつのデザインイメージを広げています。 あと秋冬に向けて、「irojikake HOME MADE」というアクセサリーも展開していく予定です。おうちで過ごす時間が長くなったことがきっかけで始めたんですけど、息子が寝た後に自分のペースで一点ずつ手づくりしています。今まで仕事で海外を回った時に買い集めたビーズや買い足したシェルビーズなどを使った、同じものがふたつとない一点ものです。ほかで手に入るなら、私がやる意味はあまりないのかなってところも考えてのこと。売上の一部はどこかに寄付できたらいいなと思っています。基本的に一度つくったものは再販しないので、気になるものがあったらぜひ手に取ってみてほしいですね。

――自分らしいファッションを楽しむために、意識するべきことはありますか?
いちばん良くないのは、一切鏡を見なくなることだと思うんです。自分の顔なんてどうでもいい、着ている服もどうでもいい、髪型だってどうでもいいと、すべてどうでも良くなっちゃうとどんどん憂鬱な気分になりますよね。カラフルな服を着たり、自分の好きなファッションを楽しもうとしたりすると絶対に鏡を見るじゃないですか。それって大事なことだなってあらためて思います。

  ファッションでもうひとつ意識していることと言えば“骨”(笑)。女性って鎖骨が見えるか見えないかで、ガラッと印象が変わってくるので、鎖骨以外にも手首やくるぶしにも意識を巡らせてほしいですね。あとはシンプルに服のサイジングさえ間違わなければ、大体はおしゃれに見えると思います。

気分が上がる「irojikake」の秋冬コレクション

  • 1_ガーゼ素材に自身が描いた色とりどりの花のイラストを配したフラワージャケット ¥31,020

  • 2_紗羅さん曰く「とにかく元気になるニット」を表現したビタミンニット ¥22,770

  • 3_海外製ビーズを中心に使用した「irojikake HOME MADE」の猫ネックレス、ハートネックレス 各¥13,200

  • 4_花火をイメージした藍染めのラップ仕立てのインディゴスカート ¥48,180

気分が上がる「irojikake」の
秋冬コレクション

  • 1_ガーゼ素材に自身が描いた色とりどりの花のイラストを配したフラワージャケット ¥31,020

  • 2_紗羅さん曰く「とにかく元気になるニット」を表現したビタミンニット ¥22,770

  • 3_海外製ビーズを中心に使用した「irojikake HOME MADE」の猫ネックレス、ハートネックレス各¥13,200

  • 4_花火をイメージした藍染めのラップ仕立てのインディゴスカート ¥48,180

PROFILE

紗羅マリーさん

愛知県出身。2015年に「irojikake」をスタート。女優やモデルとしてだけではなく、ブランドディレクターとしてもマルチに活動。個性はあるけど着やすく、どこか色気のあるデザインが支持を得る。昨年末に東京から郊外へと移住。
Instagram_@saramary12

紗羅マリーさん

「KOTONA」デザイナー山下琴菜 YAMASHITA KOTONA

山下琴菜さん

着飾ることをあれこれ考えるのが、おしゃれに繋がるのかな。

――ここ数シーズン、服づくりにおいて意識が変わったことはありますか?
  まず、昨年を振り返った時、お店で買い物をした記憶がないなと気付いたんですよ。Tシャツとかちょっとしたアクセサリーをネットで買ったくらいで。その反動なのか、少しテンションを上げたいなと考えた時に価格と比例した上質なものが欲しくなったんですよね。「自分のブランドで出していない高い服って何だろう? そうだ、ライダースだ!」とひらめいて、今シーズン初めてライダースジャケットをつくりました。今の流れでもあるサステイナブルも意識したのですが、合皮は私自身のテンションが上がらないし、それに実は長持ちしないなど良くない側面もあるなと思って、普通に本革でつくったら結果的に値段が高くなりました(笑)。でもその分、自信を持って皆さんにお届けできるものになっています。

結局、気に入ったものを着続けることがいちばんのサステイナブル。

――そのライダースジャケットを含め、今シーズンはどういったテーマでコレクションをつくられたのですか?
  毎回自分の中で裏テーマを設けていて、今季はズバリ“アーティストの妻”です。たとえばピカソの妻だったりするのですが、芸術家自身もさることながら、実は奥さんのほうもクセが強いといったケースが多くて、その人が「KOTONA」を着るとしたら……と想像しながらつくりました。自分で出したお題に大喜利をしている感覚に近いかもしれないですね(笑)。
  あと、なぜこんなに世間がサステイナブルを謳っているのかもあらためて考えてみました。ゴミになることがいちばん悪いんだったら、すぐ飽きるものとか、つくり手の魂がこもっていない服は絶対につくっちゃダメだとなって。なので誤解を恐れずに言えば、ファッションが好きなのであればお金は使ったほうがいいと思います。下手にネットで安いものを探してきて、それを着て今っぽく可愛くなろうとすると、どこにでもいる量産型のキャラクターになっちゃうので。今の若い世代って転売できるかどうかを基準に服を選んでいるから、新しい服を手に入れたとしても基本的には自分のものという感覚じゃないんですよ。一度清水の舞台から飛び降りるくらいの気持ちで服を買ってみてほしいです。結局、気に入ったものを着続けることがいちばんのサステイナブルな気がします。

――なるほど。それでは、山下さんが考える自分らしいおしゃれの楽しみ方を教えてください。
  まずおしゃれって、そもそもなんなんでしょうね(笑)。私自身は基本的にカジュアルな服が好きじゃなくて、街でサラッとしたファッションの人を見てもあまり面白いと思えないんですよね。もっと世の中の人が、フォルム的な服を日常的に着てもいいのになって。着飾ることをあれこれ考えるのが、おしゃれに繋がるのかな。
  今はそれほど人と会わなくてもいいから、ファッションを楽しむことを奪われている気がしていて。だから早く気軽に人と会えるような世の中に戻ればいいなと思っています。

気分が上がる「KOTONA」の秋冬コレクション

  • 1_シルエットが印象的なワンピース ¥53,900。毎シーズン好評で、こちらは新色

  • 2_ブランド初となるライダースジャケット ¥180,400

  • 3_ニットのように仕立てた定番のウィッグメッシュ素材を用いたニット ¥46,200

  • 4_日本人の羽織りを意識したマフラーニット ¥36,300

気分が上がる「KOTONA」の
秋冬コレクション

  • 1_シルエットが印象的なワンピース ¥53,900。毎シーズン好評で、こちらは新色

  • 2_ブランド初となるライダースジャケット ¥180,400

  • 3_ニットのように仕立てた定番のウィッグメッシュ素材を用いたニット ¥46,200

  • 4_日本人の羽織りを意識したマフラーニット ¥36,300

PROFILE

山下琴菜さん

宮崎県生まれ。2016年にレディスブランド「KOTONA」を立ち上げる。“現代の高等遊民価値を築くこと”をコンセプトに、「女性特有の気分や逞しさ、人間味のある人に向けて」つくられる。電車が苦手で、移動は自転車が基本。
Instagram_@kotonakotonakotona

山下琴菜さん